素敵生活 繋がりを大切に

素敵生活
繋がりを大切に


 心豊かに、素敵な暮らしをしている方たちはいっぱいいます。
その人たちは、何を大切にしているのでしょう。
人との繋がりではないでしょうか。今回紹介した2組の
生活ぶりから、参考になるものが見つけてもらえればと願います。










吉田家は、いつも友人たちが訪れて賑やか。この日は同じスウェーデンヒルズに暮らすヴァンリッジス夫妻が遊びにきて、大きな円いテーブルを囲み、澄子さんの手料理で楽しいひと時を

おもてなしの秘訣は
ちょっとした心くばりと工夫
 当別町の小高い丘に広がるスウェーデンヒルズ。吉田正昭さん・澄子さんご夫妻がここに居を移したのは21年前のこと。「札幌から移ったばかりの頃は淋しいでしょう?と、よく聞かれました。でも淋しいとは思ったことはないわ」と澄子さんは笑う。そして「ここに移ってからのほうが、人との繋がりを強く感じます。同じスウェーデンヒルズに暮らしている若い人たちとも皆仲良しです」とも。
 この日、「こんにちは!」と元気な声で吉田家を訪れたのは、VANRIJS MICHAEL (ヴァンリッジス・マイケル)・実希子さん夫妻。4年ほど前に、町内会で開催される食事会で知り合ってからの付き合いだそう。「ヒルズの交流センターで、月に1回、英語だけで食事をする会が開かれており、そこで話をするようになりました」と実希子さん。それ以来、夫婦で吉田家を訪れたり、吉田さんご夫婦がヴァンリッジス家を訪れたり。「年齢や性別に関係なく、人との繋がりを楽しめるのは、ここに住んでいるからかも知れません。都会で暮らすよりも、付き合い方が深いと思います」と澄子さんは話す。
 この日、澄子さんがヴァンリッジス夫妻をもてなすために用意した料理は、鶏のもも肉の蒸し煮、炊きこみご飯、サラダ風の浅漬けなど。「どれも簡単にできるものばかり。でもちょっと工夫することでおもてなし料理になるでしょ」。面倒に思われる炊き込みご飯も、澄子さんは市販のごぼう飯の素を利用。炊くときに10センチほどのだし昆布を入れるのが、澄子さん流。「これで、ぐんと美味しくなりますよ」。

吉田家では、テーブルセッティングをしてお客様を迎える

 澄子さん流のおもてなしは、テーブルセッティングにも。必ず人数分のランチョンマットや紙ナプキンを用意する。「お客様を気持ち良くお迎えするには、ちょっとした心づかいが大切だと思うの。たいした手間にはなりません」。紙ナプキンは常に何種類か用意しておき、季節やその日の料理などでチョイスしているそう。こうした心くばりが、大勢の友人が集まってくる要因のよう。
 「明るい貧乏」がモットーと笑う澄子さん。ちょっとした工夫や思いやりで、人とのふれあいをより深いものにしている。

それぞれの時間も大切に、二人暮らしを楽しむ

冬は歩くスキーが二人の日課
正昭さんは音楽療法のお手伝いも

運動不足解消にと始めた歩くスキーは、今はご夫婦共通の楽しみとなっている

 吉田さん一家が札幌市内から当別町のスウェーデンヒルズに、居を移したのは21年前。「住んでいた家が古くなり、建て替えを考えている頃に、たまたま窓枠が木のスウェーデンハウスを知り、いいなと思ってしまったんです。でも家が建て込む札幌の街には似合わないなぁ」と思案していたそう。澄子さんの気持ちを知ってか知らずか、正昭さんは澄子さんを当別町にドライブに誘う。
 「主人は当別町にゴルフに何度も来ていて、豊かな自然の中にゆったりとした間隔で三角屋根のスウェーデンハウスが建つ、ここのことを知っていたんです。どちらかというと、主人の策に私がはまってしまったのかも」。
 まだ2人のお子さんがいた吉田家は、意を決して当別町へ。正昭さんは、札幌の職場へ当別町から通っていたという。
 今は二人のお子さんも独立し、正昭さんも退職。二人暮らしを楽しんでいるご夫婦。「のんびり暮らしているように見えるかもしれませんが、けっこう忙しいんですよ」と笑う。
 運動不足の解消にと、冬は二人で歩くスキーを楽しむのが日課。「静まりかえった白銀の中を、小鳥の声を聞いたり、動物たちの足跡を見つけたり。冬ならではの楽しい時間です」。また正昭さんは、68歳からテニスラケットを握る。夏だけでなく、冬もインドアテニスを楽しみ、汗を流している。

 正昭さんは、当別町の混声合唱団にも参加。3年前からはウクレレにも挑戦している。ヴァンリッジス夫妻の要望でウクレレを手に取った正昭さんは、浪々とした歌声も披露してくれた。音楽療法のボランティアの手伝いもしているという腕は、まさに玄人はだしだ。一瞬にしてコンサート会場に早変わりした吉田家のリビング。窓外は白一色となっているが、夏は広い庭を花や野菜が彩る。「夏はとてもキレイ。外でおもてなしをすることもあります」と話す澄子さん。人との繋がりを大切にしながら、ご夫婦二人で暮らしを存分に楽しんでいるのが伝わってくる。



混声合唱団にも参加している正昭さんは、ウクレレを
弾きながら素敵な歌声を披露してくれた

澄子さんはフェルト作家の顔も
手作業で仕上げる作品は温か

2階の作業室で、ハサミを使わずに手作業でフェルトの作品づくりに勤しむ澄子さん。

  吉田家の2階には、大きな作業テーブルを置いた部屋がある。ここの主は、フェルト作家の顔を持つ澄子さん。大きな作業テーブルは、学校で使っていた机をリメイクしたもの。「〝明るい貧乏〟だから、使えるものは、キチンと使わなくちゃ」と微笑む。ここに居ると時間が経つのを忘れてしまうこともあるという澄子さんにとって、20年ほどやっているフェルトの作品づくりはまさにライフワーク。細かく裂いたウールを何層にも重ねて作り上げる作業は、きめ細か。ハサミを使わずに、すべて手作業で作品を仕上げていく。フェルト作品の魅力はソフトでしなやか。弾力性にも富んでおり、型崩れしにくいなどの利点があるので、帽子やマフラーなどの日常使いのものに最適だという。
 時折作品展も開催しているという澄子さんの作品を見せていただくと、どれも温かな風合い。北欧の小人をイメージしたというトムテは、一体一体表情が違い、どこかユーモラス。優しい澄子さんの人柄が伝わってくるかのよう。真っ白な大きなひげは、エコリン村の羊の毛を使っているそう。見ているだけで、こちらの心が温かくなっていく。

作品展も開く腕前で、作品はどれもカラフルで、
優しい風合。見ているこちら側を和ませてくれる

「明るい貧乏」とは
「心を豊かに暮らす」こと
 澄子さんはフェルト作品づくり、正昭さんは混声合唱団や音楽療法の仲間のお手伝いなど、自分自身の時間をそれぞれが楽しんでもいる。お二人が「忙しい」という意味も納得。人との繋がりを大切にしながら、自分たちの時間も大事にしているのが伝わってくる。
 澄子さんは英会話にも挑戦。自宅に先生を招いてお喋りを楽しむ。「でも決して上達することが目的ではないの。頭の体操かな」と笑う。このチャレンジ精神も、積極的に暮らしを楽しむ秘訣なのかもしれない。
 澄子さんが言う「明るい貧乏」とは、無理をせずに自然体で「心を豊かに暮らす」ことといえそうだ。そして人への思いやりが、繋がりを深めていることを教えてくれる。
 自分たちで喜びを見つけて、暮らしを楽しむ。お二人の生活ぶりから、学ぶことはたくさんありそうだ。


◎とり肉の蒸し煮

材 料
もも肉/2枚
じゃがいも/4個
じゃがいもは北あかり系がお勧め。
でもメークインでも美味しいと思います。
じゃがいもの量は増やしても大丈夫です。
簡単にできるので、
ぜひ作ってみてくださいね
塩/小さじ1
水/4カップ
めんたいマヨネーズ
(明太子/1腹、マヨネーズ/大さじ6、
だししょう油/小さじ3〜4、
こしょう/少々、ヨーグルト/適量)

作り方
1 とりのもも肉に塩こしょうをして、しばらく置いておく
2 じゃがいもは皮つきのまま、きれいに洗って、適当な大きさに切る
3 鍋にじゃがいもを並べ、その上に1のもも肉を並べる
★澄子さんからのワンポイントアドバイス
もも肉は必ず皮を下にしてくださいね
4 水と塩を加えて蓋をし、約5分強火で蒸し煮
5 もも肉に竹串を刺してみて、透明な肉汁が出たなら火が通っている証拠。弱火にして約10分、さらに蒸し煮にする
6 出来上がりを待つ間に、明太子の腹を削いで材料を合わせて、めんたいマヨネーズを作る
★澄子さんからのワンポイントアドバイス
美味しい明太子が手に入らない時は、
ゆずやレモンで味を調整してみてね。
またカロリーが気になる方は
ヨーグルトを多めにするのも良いですよ
7 もも肉を食べやすい大きさに切って、じゃがいもの上にのせ、めんたいマヨネーズをたっぷりとかけて出来上がり
◎サラダ風簡単浅漬け

作り方
1 白菜などありあわせの野菜をザク切りにします。
2 ビニール袋に1と細切りの昆布、ニンジン、唐辛子、ゆずの絞り汁を加え、好みの塩でもみ込みます。
3 一日くらいで食べ頃になります。