|
イベント
手を掛け、心をこめて、思いを伝えたい。
素敵生活1
手を掛け、心をこめて、
思いを伝えたい。
192万人都市、札幌。のんたの「素敵生活」では、ふだんの何気ない生活の中でその人が大切にしているマイスタイルにより、この街で心豊かに暮らしている方にスポットを当てていきます。第1回目は、手作りの人形やお菓子を通じて愛情豊かに子育てをおこなっている素敵なお母さんを紹介します。
子どもの感性を育む手作り人形
四歳になったばかりのゆりこちゃんとみなみちゃん、仲良しの二人がいとおしそうに抱いている人形。既製品にはない、温もりと個性があり、なんともかわいい。実は、どちらも母親が娘のために作った手作りの抱き人形である。
「自分の手作りで子どもに何か作ってあげたいと思ったのがきっかけでした」と二郷史絵さん(37歳)。「3歳の誕生日プレゼントに渡そうと思って」2~3カ月かけて教室に通って作ったそう。母親が子どものために心をこめて作る人形、知る人ぞ知る「シュタイナーのウォルドルフ人形」だった。
体長約40cm。四頭身で、人形の中身は羊毛、ボディは綿ジャージー、髪の毛は草木染めの毛糸と、自然で安全な素材を使用。弾力性があり、適度な重みもある。子どもたちが抱いたり、背負ったり、いろいろ使っても長持ちする丈夫な造り。顔は、目も口も小さな縫いめで仕上げている。表情のないのが逆に子どもの想像力をかきたてるのだという。
「『真っ白な気持ちで目と口の位置を決めてください』と言われました。同一のキットで作っているのに、自分の子どもの顔に似てくるのが不思議。一針のミリの違いで表情が変わってくるんでしょうね」と史絵さん。そう言われてみると、人形はそれぞれ丸顔のゆりこちゃん、面長のみなみちゃんに似ている。
ゆりこちゃんは、初めて人形と対面した時「にこっ」と笑って照れていたそう。「叱られた次の日は、私の口マネで『言ったでしょ』『だめでしょ』と人形に語りかけているんですよ」と目を細める。お友達のみなみちゃんは、自分が眠くなってくると『眠たいって』と人形を寝かせるそう。二人にとって、人形は分身であり、友達であり、時には自分が母親役なのだろう。いずれにしてもお母さんがひと針ひと針縫い上げたこの人形、子どもたちの感性に見事に応えてくれているようだ。「今、出産をひかえていますが、女の子だったらその子のためにまた作りたいですね。男の子だったら、動物かな…」とほほえんだ。
ゆりこちゃん(右)とみなみちゃん(左)。
二人の人形は、みなみちゃんのお母さんに誘われて、絵本専門店での手作り人形教室に参加して作った人形。
人形の服は、小さい時に二人が着ていたもの
体づくりも味覚も、幼い時から
持ち運びしやすいテーブル、子ども用の小さな椅子は、ご主人のお手製。おやつの時間。このテーブルに史絵さん手作りのお焼きが並べられると、二人ともおいしそうに食べ始めた。「北海道産小麦を水でといて焼くだけなのですが、素材の味がしておいしいんですよ」。
この他おやつのメニューは、手作りの黒蜜をかけた寒天や白玉も好きだという。「子どものアレルギーって多いですよね。添加物が多すぎるものは与えないように、手間暇かけても守りたい。正直、大変ですけど、食べ物に関しては素材にもこだわりたい。小さい時に覚えた味覚は一生忘れないそうですし」。
だから、梅干しも自家製。料理も化学調味料は使わないで自分でダシをとり、野菜も無農薬野菜を中心にしている。「手を掛けられるところはできるだけ手を掛けて、子どもに食べさせたいなと思うものを与えたいんです」。ただし、何でも手作りで、というような無理はしない。あくまでも自分のできる範囲で。「それしか食べさせないという無理強いもしたくなくて」。肩に力が入り過ぎていない、自然体が素敵だ。「特別なことをするのではなく、母にしてもらったことを私もしてあげたい」。その思いは、娘さんへとまた受け継がれていくことだろう。
みなみちゃんママとは、助産師さんを通じて知り合い、レシピを交換したり、子育てに関する情報交換もしているそう
素朴なおいしさ、地麦のお焼き
(お焼き2~3枚分)
北海道産小麦:(約80g)
砂糖:小さじ1~2杯
水:適量
油:少々
① 小麦に砂糖を加える。
② 水を加減しながら①に入れて、手早く混ぜる。
③ トロトロのクレープ状にする。
④ フライパンに薄く油をひいて③を注ぎ、餃子の皮より少し大きめのサイズにして両面を焼く。
⑤ できあがったら、メイプルシロップやハチミツ、餡をかけて食べる。
地麦のお焼きは、ゆりこちゃんも大好き